ベトナム進出メリット
近年、ベトナムに進出する日系企業が年々増加しています。
新型コロナ発生以前はベトナムの国内総生産(GDP)は年率+6~7%の高水準で安定的な経済成長を示し、新型コロナ禍では海外直接投資や貿易は落ち込んだものの、今後のコロナ後の更なる経済成長が見込まれています。
ベトナムといえば中国からの製造業生産移管先として注目されていましたが、こうした経済成長を背景にベトナム国内での中間層、富裕層が急速に増加しており、ベトナム国内の消費者向けの業界が多くの日本企業によって有望視されています。
今回は、そんなベトナム進出におけるメリットをご紹介させて頂きます。
この記事を読むとこれが分かる!
ベトナム日系企業の動向
日本からベトナムへの進出企業は年々増加しており、2020年の日系企業進出拠点総数は、東南アジアではタイに続きベトナムで2番目に多い数字となりました。2021年においても、昨年に続き全体で9%の増加となり、純増数のうち5割が製造業、2割強が卸売・小売業を占めています。
また、増加率に関しては、「卸売・小売業」、「情報通信」、「その他サービス」がトップの増加率となりました。
若くて優秀な労働力が豊富
現在のベトナムの人口は9,762万人(ASEAN6億人のうち3番目に多い数字)、平均年齢32.5歳(日本は45歳)であり、国家統計局(GSO:General Statistics Office of Vietnam)と国連人口基金(UNFPA)が共同で実施した調査によると、ベトナムの人口は2029年には1億人を突破するといわれています。
現在のベトナムは、人口ボーナス期と呼ばれる、「総人口に占める生産年齢人口(15~64歳の人口)が増加している、またはその比率が高い」時期にあり、今後も2050年まで人口は増加し続けると予想されています。
また、儒教の文化が強いため、真面目な人が多いのも特徴です。繊維産業が主力であることからもわかるように、手先が器用な人も多いことでも知られています。
ITリテラシーが高い人材も増えており、ITエンジニアの職種は、常に需要が供給を上回っているじょうたいであり、優秀なベトナム人ITエンジニアの収入は先進国とも並ぶレベルになっており、ベトナムにてオフショア事業を行う日系企業も増加しています。
若くて意識と質の高い人材が豊富であるということはベトナム市場の魅力のひとつです。
物価が安く、雇用コストが安い
進出におけるコストが低いのもベトナム進出の魅力です。例えば、ダナンのオフィス賃料の中央値は約11USD~12USD/㎡(1200~1300円/㎡)と、東京都内でオフィスを借りるより、圧倒的に安いのが分かります。
物価のみならず、賃金においても同様です。2020年のベトナム全土63の省と都市で実施された統計総局の調査結果によると、国民一人当たりの平均収入は423万ドン(約2万円)でした。地域や業種により差があり、賃料はそれぞれ異なりますが、例えば製造業に関しては、ベトナムはアジア他国より低い賃金であることが分かります。
参照:JETRO地域分析レポート アジアの労務コスト比較、意外に大きい賃金水準の地域差
消費市場としても有望なベトナム
労働人口への様々な商品需要急増
前述させて頂いたように、ベトナムはその急激な急成長により、消費市場としても有望視されています。
ベトナムの総人口はもうすぐ1億人突破間近であり、その7割は15歳~64歳という比較的若い年齢層で占めています。今後も、人口増加とともに、この若い年齢層の割合も維持することから、この層への様々な商品への需要が増していくことが予想されています。
一人当たりGDP3000ドル突破間近!耐久消費財の消費が活発なフェーズに
現在のベトナムの一人当たりGDPは約2700USDであり、3000ドル間近となっています。ジェトロによりますと、一人当たりの所得が年間3000ドル~1万ドル程度に達すると、所得水準の上昇とともに、消費スタイルに変化が生じ、自動車や家電などの耐久消費財が売れ始めるとされ、企業によっては、3000ドルラインを超えた層の消費スタイルの変化に着目し、これを採算ラインとする企業もあります。
ベトナム政府としては、今後、ベトナムの一人当たりGDPを2025年には4700~5000USDまで引き上げる目標を掲げています。この数字は、今から約10年前の中国と同じくらいの数字であり、中国もそのフェーズから一気に消費市場が拡大しています。
2030年までに全世帯の49%が中間層
ベトナム国民全体の所得増加から、中間層、富裕層が徐々に拡大しています。経済産業省「通商白書」による「中間層」の定義は「年間可処分所得が5000ドル超35,000ドル以下の世帯」としており、以下の2000年と2020年の年間世帯所得分布を比較すると、この中間層が増加していることが分かります。
地場ベトドラゴン証券(VDSC)によると、ベトナムでは今後中間層が拡大を続け、2030年には、1世帯当たりの年間可処分所得が5,000米ドル~1万5,000米ドルの層が全体の49%まで増加すると見込まれています。
ベトナムの超富裕層人口、今後5年で+64%増―増加率世界3位
中間層に限らず、ベトナムでは、富裕層も増加しています。英系不動産サービス大手のナイト・フランク(Knight Frank) が発表した「ザ・ウェルス・レポート」によると、ベトナムの超富裕層人口は、2019年~2024年の5年間で+64%増加する見通しとなっています。この増加率は、1位インドの+73%、2位エジプトの66.5%に次いで世界3位となっています。
このナイト・フランクの定義する「超富裕層」とは、住居以外に資産3000万米ドル(約31億5000万円)超を保有する人を指します。
この超富裕層人口増加により、高級レストランやリゾート施設などの娯楽産業も急成長しています。
貿易のしやすさ
ベトナムは、2009年にWTO加盟を果たしてから、外資系の商社・販売会社の現地法人の設立が許可されました。これにより、外資企業にとっては、貿易のしやすい環境になりました。
また、ベトナムで発行中の自由貿易協定(FTA、EPAなど)は現在12協定にのぼります。FTA、EPA発行件数が周辺各国より多いため、ベトナムの製品輸出拠点としての優位性がより高まります。
日本にとっては、日越間のEPA(経済連携協定)の締結により、高い水準の自由化が実現されました。日本側は、鉱工業品分野でほぼすべての品目で関税を撤廃、農産品に関しては、即時~7年間で撤廃、水産品に関しては、エビ、エビ調製品は即時、冷凍タコなどは5年間でそれぞれ関税を撤廃しました。ベトナム側は輸入額の88%を10年間で無税化、電気製品では、フラットパネルおよびDVD部品は2年間、デジタルカメラは4年間、カラーテレビは8年間でそれぞれ関税を撤廃しました。農林水産品の多くの品目は即時~10年間で関税を撤廃しました。
これにより、両国の企業が相手国に投資しやすい環境を整備することを約束し、他の投資協定にはない知的財産権保護に関する協議のための規定も盛り込んでいます。
各種優遇措置
ベトナムでは、業種や地域によって、外資に対する優遇措置をとっています。ベトナムの標準法人税は20%ですが、業種によっては、優遇措置を適用することで、一部免税、減税が可能となります。今回は、その一部を以下にまとめました。
IT企業に対する優遇措置
例えば、IT分野に関しては、ベトナムはIT立国を目指しており、IT企業に対する法人税優遇制度を行っています。ベトナムの法人税は通常20%ですが、この優遇措置が適用されると、優遇税率10%が15年間にわたり適用され、かつ4年間免税、その後9年間50%減税が適用されます。
(*優遇税制の対象になるのは、ソフトウェア開発業務のみで、該当するソフトウェアの種類も定められています)
製造業に対する優遇措置
製造業に対する一般的な優遇税制
工業団地に入居する製造業に対する優遇税制は、投資地域により期間が変わりますが、原則として2年間の免税、その後4年間の50%減税となっています。優遇期間は課税所得が発生した年度から起算されます。
拡張投資に対する優遇税制
2014年以降、製造業の拡張投資に対する優遇税制も認められるようになりました。条件を満たせば、新たな拡張プロジェクトに対しても2年間免除、その後4年間50%減税の適用が可能です。
ベトナムへの進出メリット まとめ
いかがでしたか?上記のメリットから、ベトナムでは日系企業に関わらず多くの外資企業が進出しています。弊社では、日系企業のベトナム、特に、リゾート地としても注目されているダナンでの進出サポートを行っています。
ベトナム・ダナンへ進出されたい、不動産購入を検討中の方は、是非ご連絡下さい!