急成長を続ける
ベトナムの歴史的背景

 ベトナム経済は1990年代以降、外国資本の進出ラッシュを受けて急成長を遂げてきました。
 1990年から2000年までの10年間でGDPは2倍以上に伸び、2019年のGDP成長率は7.0%、前年の2018年に続いて7%台を維持し、政府目標の6.6~6.8%を上回り、コロナ直前までは過去10年間で最も高い成長率を記録していました。
 今回は、そのベトナムの急成長の歴史的背景をご紹介します。

急成長の要因

 このベトナムの急成長の要因は、1986年のドイモイ政策をきっかけに、徐々に外資企業へ市場を開放。外資企業の参入ラッシュとなりました。

  • 1986年 ドイモイ政策開始
  • 1994年 米国がベトナムへの経済封鎖解除【第一次進出ブームのきっかけ】
  • 1995年 ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟
  • 1998年 APEC(アジア太平洋経済協力機構)加盟
  • 2005年 日越投資協定締結【第二次進出ブームのきっかけ】
  • 2007年 世界貿易機構(WTO)加盟
  • 2011年 日越経済連携協定【第三次進出ブームのきっかけ】

ベトナム急成長の歴史的背景

ドイモイ政策 

 1970年代まで続いたベトナム戦争、その他近隣諸国との相次いだ戦争により、ベトナムは国際的に孤立していました。当時、ベトナムは社会主義・共産主義体制であり、経済は政府が主導で動かす「官僚主義的分配経済」(例えば、食料に関しては、スーパーで購入するのではなく、配給制とし、国民は国によって規定された日と場所でしか食料を受け取ることができない)でした。
 しかし、この政策も長くは続かず、資本主義経済への転換を図ったのがこの「ドイモイ政策」です。
 ドイ(Doi)はべトナム語で「変化」、モイ(Moi)は新しいという意味であり、「ドイモイ(Doi Moi)」とは日本語で「刷新」を意味します。
 この頃から、ベトナムでは国民は働けば働くほど豊かになることができ、私企業、私有財産も保有できるようになったのです。

米国による経済封鎖の解除 / WTO加盟
【第一次・第二次進出ブーム】

 アメリカとの関係回復後、ベトナムは、中国、アメリカとの通商関係を確立、国際機構や先進国との関係を拡大させることに成功しました。
 そして2007年のWTO加盟により、ベトナムは、輸入・販売、金融保険、建設、教育関連などの市場を段階的に開放し、さまざまな商品の関税引き下げを実施していきます。
 これを機に、多くの外資企業が参入。この時期に、外資による第一次、第二次進出ブームを迎えています。

日越経済連携協定
【第三次進出ブーム】

 WTO加盟後、2009年に「外資系小売業の100%外資での市場参入」が自由化され、その後、日系企業に関わらず、多くの小売・サービス分野での外資企業が参入し始めました。
 日系企業では、コンビニのファミリーマート、100円ショップのダイソー、外食チェーンの吉野家が店舗展開を始めたのもこの時期です。サービス分野では、セコム等の警備会社、シェラトン、カラベルなどの欧米系高級ホテルもこの時期に進出しています。

急増する「中国からベトナムへの生産拠点シフト」

 近年、以下のような、中国への一極集中により高まるチャイナリスクの分散先として、ベトナムが、中国からへの生産移管先として人気を集めています。

  • 中国の人件費上昇
  • 中国からの反日デモ
  • 2018年の米中貿易摩擦

 大和総研の調査によりますと、2013年の時点で中国の北京、上海市の最低賃金は2005年と比較して約2.4倍にまで上昇し、外資企業が中国国内へ生産拠点を持つうまみがなくなってきました。
 また、2012年の日本政府による尖閣諸島の国有化後から、中国国内で大規模な反日デモが相次ぎ、日系企業においては急激に「チャイナリスク」が意識されるようになりました。
 その他にも、米中貿易摩擦の影響で、日系企業に限らず、多くの外資企業が中国からベトナムへ生産移管を始めています。

まとめ

  • ベトナムは、1990年代以降、外国資本ラッシュを受けて急成長している国である。
  • 急成長の要因は、1986年のドイモイ政策をはじめとしたの外資企業への市場開放政策うや国際協定締結、中国からの生産移管が挙げられる。

いかがでしたか?ワクチン接種率が急速に進むベトナムでは、ニューノーマル政策に突入し、ニューノーマル時代での更なる急成長も見込まれております。
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