ベトナム
外国人不動産(建物)購入規制

 ベトナムでは、2015年に外国人に対しても不動産購入の規制が緩和されました。経済成長が著しいベトナムで不動産の外国人購入規制が緩和されたことで、ベトナムの不動産市場はさらに加速しています。しかし、緩和されたとはいえ、外国人や外国組織の買い占め、それによる不動産高騰を防ぐため、まだ注意すべき規制がいくつかあります。ここでは、外国人がベトナム不動産を購入するうえで知っておきたい情報をご紹介していきます。

この記事を読むとこれが分かる!

POINT
  • 外国人個人、法人の場合の不動産購入規制
  • 外国人の売却先、中古物件購入における規制
  • 外国人所有権である場合の最大のメリット

注意すべき外国人不動産購入規制

 ベトナムで外国人が不動産を購入する場合、以下の3つの対象によって購入目的や保有期間などが異なります。

  • 外国人個人
  • ベトナムで設立された外国企業(外国組織)
  • 海外の企業(海外で登記されている企業)

外国人個人

購入に関して

 ベトナム住宅法では「ベトナムへの入国が可能な外国人は住宅を購入することができる」と規定しています。日本国籍者の場合、ビザ無しでの15日間の入国が認められているので、日本人は日本国籍のパスポートがあれば購入が可能です。その他の国籍の方に関してはビザが必要な場合がございますので、ご注意ください。

購入目的

 外国人個人は、住宅目的、賃貸、転売目的での購入も可能です。賃貸、転売など収益を得る目的での購入に関しては、小規模かつ不定期であれば可能です。そのため、あまりにも多数の住宅を購入する場合には、住宅目的とはみなされず、事業目的とみなされる可能性があります。

所有期間

 原則50年とされています。50年後は、建物の躯体や状況を政府が判断し更に最大で50年の更新が可能とされています。
 また、外国人個人が海外居住者を含むベトナム人と結婚した場合は、制限がありません。(外国人はベトナム人と結婚した場合でも、土地の購入は不可)

外国人がベトナム人と結婚した場合の保有可能期間

ベトナムで設立された外国企業

購入に関して / 購入目的

 ベトナム国内の一般的な外国企業では、社宅目的の購入は可能です。しかし、賃貸収入など、事業目的で購入する場合は、資本金200憶ドン(日本円で約1億円)で不動産事業免許の取得が必要となります。

保有期間

 投資登録証明書(日本でいう会社登記簿のような書類)に記載される会社の登記有効期間内に保有が可能です。投資登録証明書が更新された場合、更新された投資登録証明書に記載する登記有効期間内に保有が可能ですが、保有延長できるのは1回のみとなります。

海外の企業

海外の企業の場合は原則購入は認められていません。

外国人不動産購入規制まとめ

参照: 住宅法
注意

 外国人、ベトナムで設立された外国企業、海外起業の規制は上記となりますが、プロジェクトによっては、政府が外国人購入を一切認めないプロジェクトもあります。対象となる物件が、政府の認可が下りた外国人購入可能プロジェクトであるかどうか、きちんと確認しましょう。

外国人が全体で購入可能な戸数または棟数制限

コンドミニアム(日本でいうタワマンなどのマンション)の場合

 建物1棟(または開発規模によりブロック毎の場合あり)あたり、全体戸数の30%を超えてはならないと規定されています。

外国人個人 / 外国組織のコンドミニアムの戸数制限

ビラ・一軒家の場合

 プロジェクトの区画内、または行政区画内の総棟数の10%または250戸どちらか少ない棟数までと規定されています。

外国人個人 / 外国組織のビラ・一軒家の棟数制限

売却先・中古物件購入の規制

外国人は中古物件を外国人からのみ購入可能

 外国人個人、または外国組織は、ベトナム政府の認可が下りた新築物件であれば、ディベロッパー(不動産開発会社)から購入が可能です。
 購入した新築物件の売却先は、外国人個人/外国組織、ベトナム人にも転売することができます。ただし、外国人が中古物件を購入する場合、外国人が保有する中古物件しか購入することができません。その場合、元所有者に対して定められた「所有年数制限」が次の外国人所有者にも引き継がれることになります。

外国人個人/外国組織の売却先・中古物件購入規制

外国人所有権であることの
最大のメリット

 外国人個人/または外国人組織は、中古物件に関しては、外国人個人/外国組織が保有する物件しか購入することができませんが、これにはメリットもあります。
 例えば、ベトナムのダナンのビラ市場が良い例です。不動産レポートを発行しているコーリアーズインターナショナルによると、2018年~現在にかけ、ダナンのビラの新築供給数はゼロとなり、その供給不足から、ダナンのビラ価格は高騰しています。2019年の時点では、平均で前年比34%の価格上昇となりました。
 ただでさえ、ダナンのビラ市場は供給不足であるのにも関わらず、以下のグラフのように、ダナンで外国人が購入できる中古物件は、現在の既存中古物件市場の5%のみとなります。

参照: Colliers International 2019

 つまり、今後新たに外国人がビラを購入したいとなった場合、新築物件が発表されない限り、
限られた中古物件しか選択肢がないことになり、この5%の外国人購入可能物件の希少価値が上がることになります。そのため、今後の値上がりが大きく期待できるのです。
 この場合、外国人所有者であることは、大きなアドバンテージとなります。

まとめ

CHECK
  • 外国人個人は、住宅目的、小規模かつ不定期な賃貸・転売目的であれば、物件の購入が可能であり、最大50年間保有することができる。
  • ベトナム国内で設立された外国企業は、社宅目的であれば、投資登録証明書の登記有効期間内であれば保有が可能。賃貸など事業目的での購入の場合、不動産事業免許&日本円で約1億円の資本金が必要。
  • 海外の企業は不動産購入は原則不可能。
  • 外国人は中古物件を購入する場合、外国人が保有する物件のみの購入可能。
  • 場所や物件の市場によっては、外国人所有権の物件は希少価値がある。

 今回は、ベトナムにおける外国人の購入規制についてまとめました。
ベトナム不動産市場は、以前は購入者のほとんどがベトナム人でしたが、2015年の外国人不動産購入規制緩和により、外国人の購入者も増加しています。とはいえ、外国個人、ベトナム国内の外国企業、海外の企業、それぞれの所有年数、購入規制が異なり、注意点が多数ありますので、それを念頭に置きながら、物件を検討する必要があります。
 ベトナムで不動産の購入を検討している方は、現地に精通した日系のエージェントに相談することをおすすめします。弊社でも、ベトナム不動産に関する相談を受け付けていますので、お気軽にご相談下さい。

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