ベトナム不動産の購入・売却手順

 ベトナムで外国人が不動産を購入する際の支払いやスケジュールは、販売者(新築の場合はディベロッパー)との契約条件、プロジェクトにより異なります。外国人がベトナムで新築物件を購入する際は、ほとんどが建物竣工前に分割で支払うケースが多いです。中古物件に関しては、物件保有者との交渉次第で異なります。
 今回は、ベトナムの新築物件の購入手順、そしてその売却の流れをご紹介致します。

この記事を読むとこれが分かる!

POINT
  • 外国人がベトナム不動産を購入するときの詳細な手順、注意点
  • 外国人がベトナム不動産を売却するときの詳細な手順、注意点
  • 不動産コンサルタント、エージェント選定におけるポイント

ベトナム新築物件の購入手順

 以下は、一般的なベトナムで新築物件を購入する手順の例となります。

物件の予約・予約金支払
・予約同意書のサイン

 購入物件を決定したら予約金を支払い、物件を抑えることができます。
 その際に予約同意書という書類にサインします。こちらは物件の予約の同意、支払方法に同意する旨の書類です。通常は予約金は原則払い戻しできない場合が多いです。
 また、ベトナムではよくあることなのですが、正式販売開始時に、抽選会(販売会)が行われます。抽選会の際に正式価格が発表されますが、多くのベトナム人購入者は、抽選会の前に予約金を支払い、抽選会で早い者勝ちで物件を選ぶ権利を獲得します。抽選会で希望の物件を抑えることができない場合、予約金は返金されます。
 予約金の額は、プロジェクトにより異なりますが、だいたい日本円で約20万円~高級物件ですと100万円と、幅があります。

ダナンの大型プロジェクト「ソレイユ・ダナン」の販売イベント 参加した購入希望参加者は1000人以上
(Viet Nam Newsより抜粋)

第一期支払 売買代金の30%まで支払い 
/ 売買契約書締結

 予約から数日~1週間後より、分割支払いが開始されます。第一期の支払いは、売買代金の30%を超えてはならないと規定されています。
 この第一期の支払いとともに、売買契約書のサインを行います。売買契約書には専有面積、権利の規定、共有エリアの規定、支払方法、日程、住宅保証、価格に含まれる内装、使用される資材などが規定されています。
 契約書の枚数が多いため、全部細かく目を通すのに時間がかかります。ディベロッパーによっては、支払期日、売買契約書のサインの日程を遅らせることも可能なので、交渉してみるのも良いかもしれません。

実際の売買契約書。上記のように、英語もでの表記がされる売買契約書もある。

物件完成まで分割支払い
(ディベロッパーにより日程、額は異なる)

 建物の完成までに、建物の建設状況に伴って支払が進められます。
また、不動産事業法第57条によると、ディベロッパーは上物の完成前に70%を超える支払を受けてはいけないと規定されています。

参照: ベトナム不動産事業法第57条

物件完成 最終支払い
(引渡しまでに売買代金の95%の支払が完了)

 物件完成時に物件の引渡が行われます。購入者が実際にベトナムに来て引渡に立ち会うか、ベトナムの信頼できる第三者に委任をし、代わりに引渡を受けることも可能です。
 引渡の際、売買契約書に規定される品質基準、内装の標準を満たしているか確認し、引渡完了書にサインをし、引渡を完了します。

ピンクブック
(土地使用権・資産所有権証明書)発行

 ピンクブックと呼ばれる権利書が発行時に、残金である売買契約書の5%の支払いが完了されます。ベトナムでは、2015年に外国人に対する不動産規制が緩和されたばかりなので、外国人に対するピンクブックの発行が、物件完成後も遅くなっています。ピンクブック未交付でも、名義変更という形で転売可能ですが、プロジェクトによりピンクブック未交付の場合転売ができないケースもありますので、そちらは慎重に確認する必要があります。

実際のピンクブック

売却手続きの流れ

 通常支払方法は売主、買主間で交渉されますが、以下は、売主、買主にとってもフェアな流れとしてお勧めします。

希望価格決定 / 売却先を見つける

 売却先は、ベトナム人、外国人でも可能です。買主を探す際は、物件の所在都市の不動産エージェントを通して探されるのをお勧めいたします。価格に関しては、きちんと相場価格を把握、考慮したうえで決定し、提示しましょう。

買主より、買付書を受け取る

 エージェントより、買主サイドから買主の希望価格、希望支払日程、買主の個人情報等が記載された買付書を受け取ります。特にベトナム人バイヤーは、かなりの割引を求めてくる場合がありますので、注意しながら交渉に応じましょう。

価格合意 
/ 手付金受領(売買価格の5~10%)

 買主の希望価格に合意後、買主が他の見込顧客より先に物件を抑えるため、手付金支払います。売主によりますが、通常は売買価格の5~10%であることが多いです。買主がベトナム人の場合、海外送金を嫌がるケースが多いですので、送金先はベトナム国内のみの送金が希望かどうか、事前にきちんと確認しましょう。

公証役場で所有者変更手続き

 ベトナムの公証役場で公証人の前で、売買契約書、所有者変更届にサインをする必要があります。(これらの書類は、公証人によって作成されます)その際、売主、買主両者ともベトナムの公証役場に来る必要がありますので、売却の際は、売主がベトナム国内に入国可能かどうか、事前に確認しましょう。
*ピンクブックがまだ発行されていない場合は、「物件の名義変更手続き」のみとなりますので、実際に来越する必要はありません。(ピンクブック未交付でも、ディベロッパーによっては名義変更できない物件も稀にありますので、事前に確認が必要です)

売買代金の90~95%を受領

 所有者手続きが変更後、売買価格の90~95%を受領します。

売買代金の2%を納税

 売却時に発生する、「譲渡税」がかかります。売買価格の2%を政府に納税します。

ディベロッパーによる所有者名義変更手続き 
/ 残金受領

 公証役場での手続き後、ディベロッパーの方でも所有者名義変更手続きを行います。買主にとっても、このディベロッパーの手続き終了後に、残金5~10%を買主より受領の流れが買主にとっても安心、フェアな流れです。

ピンクブック発行

 前述させて頂いたように、ベトナムでは、外国人に対するピンクブックの発行が遅いケースが多いです。通常は1~2年以上はかかると見た方が良いです。
 また、ベトナムでの建物所有権の移転時期ですが、住宅法では「当事者の各段の合意がない限り、買主が購入代金を支払い、住宅の引渡しを受けた時点で、住宅の所有権が移転する」と規定されています。
 ディベロッパーから住宅を購入する場合の所有権の移転時期は、「住宅の引渡しを受けた時点」または「購入代金の金額の支払いをした時点」とされています。

 いかがでしたか?ベトナム不動産購入において、商慣習・言語・法律など、日本とは大きく異なります。例えば、売買契約書を確認する際も、ただ売買契約書の読み合わせを行うのではなく、背景となる知識も必要なため、購入する際の不動産エージェントも慎重に選ぶ必要があります。
 弊社では、お客様の不動産ご購入にあたり、契約書のビデオ電話での読み合わせ、不動産レポートのご提供、売買契約書の解説資料もご提供しております。
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